2017.02.21
平成元年に3%でスタートした消費税も、いよいよ10%の大台に乗る日が近づいてきました。景気の低迷により再延期される可能性はありますが、現在のところ、2019年10月に10%になる予定です。この税率は欧米諸国に比べてだいぶ低い数値となっています。
しかし、日本の少子高齢化と財源不足は加速していくと考えられるため、消費税の増税はこれからも検討される問題となるでしょう。
今回は、そんな消費税がマンション経営にどのような影響を及ぼすかについてご紹介します。
住宅賃貸は非課税事業
一般的にはあまり意識されていないかも知れませんが、住居用の家賃収入に消費税はかかりません。通常、家賃を支払うときに「消費税」という項目はありません。
ただし、不動産業者と契約を結ぶ際に生じる仲介手数料や更新手数料は消費税課税の対象となります。住居用のマンションを賃貸経営する際にかかる消費税の課税・非課税をまとめると、以下のようになります。
・家賃:非課税
・共益費:非課税
・敷金・礼金:非課税
・更新料:非課税(更新手数料は課税対象)
・仲介手数料:課税
事業用の家賃収入は消費税課税対象
一方、住居用ではなく、店舗用の貸しビルやオフィスとして貸し出す場合、その家賃収入は消費税課税の対象となります。駐車場も課税対象ですが、住居用の住宅に付随するものとして家賃に含まれているものは、非課税になります。
ただし、個人事業主で前々年の収入の合計が1,000万円以下の場合は、消費税を納める必要はありません。こうして見ると、小規模な個人事業主で家賃収入から消費税を納める必要のある方は、それほど多くないように思えます。
課税収入額の合計が1,000万円を超える個人事業主になった場合は、入居者から毎月の家賃と消費税を回収しなければなりません。その場合、簡易課税制度を利用する方法などもありますので、税理士さんに相談してメリットの大きい方法を選択しましょう。
消費税がかかる費用
消費税は、経費に大きく関わってきます。
マンションの設備修繕や光熱費などの経費には消費税がかかりますので、ほとんどの経費が増税の影響を受けます。消費税が増税になると、経費がその分値上がりすると考えておいた方が良いでしょう。
新規に投資用マンションを取得する際にも、建物の価格が消費税の課税対象になる場合があります。
リフォームやリノベーションの際にも消費税の支払いが発生します。このような建物の売買やリフォーム、リノベーションでは金額が大きくなるため、10%への増税の前に買って(売って)しまうという駆け込み需要が発生することが予測されます。
売買の際の注意事項
消費税は「消費されるもの」にかかる税金なので、土地の売買にはかかりません。また、事業目的ではない一般の個人が売り主となって自宅や別荘などを売買する場合には、建物にも消費税はかかりません。
しかし、マンション経営を行う個人が収益用物件を売買する場合は、建物の価格が消費税の課税対象と見なされる場合があります。そして、その売上が1,000万円を超えている場合は、一時的に課税事業者になる可能性がありますので注意してください。
おわりに
住居用のマンションの家賃収入には消費税が課せられないため、マンション経営を行うほとんどの個人投資家は課税事業者になることは少ないと思われます。ただし、マンション経営の経費はすべて消費税の影響を受けるため、家賃をそのままにして経営を続けると、必要経費にかかる消費税増税の分だけ手取り所得は少なくなります。
また、新たに投資用物件を取得したり、売却したりする場合にも、消費税の影響を受ける可能性があるということを心にとどめておいてください。